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全面糊殺しシール開発秘話

今回はちょっと特殊な開発秘話をお届けします。

シール印刷の世界では、「糊殺しシール」という物騒な名前で知られている技術です。わざわざ糊の付いているシールの材料を剥がして、糊面を出し、糊を殺します。版を使って必要な部分だけ、特殊なインキで塞ぎ、再度セパレータと貼り合わせることで部分的な糊殺しが可能になっています。

もともと糊を付けない部分糊加工をした原反材料を購入ことも可能ですが、その場合には、専用の大型の部分糊原反ができてしまうため、大量のロット購入が必要になってしまったり、糊面の形状を決めることができなかったり、細かやかなカスタマイズができません。

そこで当社では、糊殺し技術を独自に発展させていきました。そのために、お客様からの要求をその都度聞いてきます。
・「あとからインキが割れて、中から糊が染みだしてしまう」
・「もっと糊のない面積を広げられないか?」
・「剥がそうとして触ったときに不快感を残したくない」

これらの声を聞きながら10年以上にわたって、糊殺し用のインキをその都度改良してきました。

そんななか、当社では製造現場からのお客様提案プロジェクトを実施していました。
「何の役に立つかわからないけれど、とりあえず全面糊殺しシールを作ってみた」という声が出てきたのが2018年度でした。
まずは何でも作ってみるが弊社の精神です。
実際、この企画会議で出されたものを見て、参加者全員が驚きました。
・「糊は完全になくなっているのに、セパレータとくっついてる」
・「当初は糊殺し面積20%までが限界などと言われていたのに100%が本当に可能になっている」

素晴らしい技術だと思ったものの、しばらくして冷静になってくると…「糊のない材料を買えばいいのでは…?」「しかし、何のためにわざわざ全面糊殺しするのか…?」といった根本的な問題にぶつかりました。

そして、全面糊殺し技術は使い道がないという状況が一年以上続き、ただただ持てあまされていました。

それから一年経ちました。

営業主体の企画会議が行われていた中のことでした。荒唐無稽なアイデアばかりで実際に役に立つアイデアがないものかみんな悩んでいました。

そんななか、アイデアマンの営業が「ちょっと考えてみたんですが……」と口を開きました。
「全面糊殺しをして、オモテ面に細い帯状の両面テープを貼り合わせて、抜き加工できれば、製造上ワンラインでスイングPOPになるのではないでしょうか?」
わずかに糊を残せばそのまま垂れ下がるタイプのスイングPOPはすぐにできます。

糊をわずかに残した糊殺しタイプ(上から垂らすタイプ)

「オモテ面に糊を付け直せば、垂れ下げる以外の方法でどこにでも貼れますし、さらに材料の反発力が出てバネのように揺れやすくなりませんか? 」

そんなに簡単にはいかないのではないかと半信半疑でしたが、実際にやってみると新たに導入した印刷機の精度もあって大きな問題なく本当にワンラインで、完成できたのです。

容器に合わせてどこにでも貼れた

通常作られているスイングPOPは、おそらく抜き落としで一枚一枚バラバラになっている。さらに作る途中でも、手貼りで両面テープを貼っているはず。ロールで加工するシール機ならではの特徴を活せる。
改めてセパレータに貼り合わせるのは、メーカーや化粧品販売業の購買の方にニーズを聞いて、在庫管理や数量管理に使うというものでした。

これらの小さな実験とアイデアの結集で、アイキャッチ用のスタンドPOPとも、市場の棚などに貼られるスイングPOPとも、いずれとも異なる「シーベルのスウィングPOP」が完成しました。

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